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「学校に行きたくない」考

昼寝する女の子
9月に入り、二学期が始まりました。
この時期になるといつも思い出すことがあります。それは、昔の自分自身。「学校に行きたくないなあ」という思いにとらわれながら、仕方なく登校していた幼い自分の姿です。
 
子どもから「学校に行きたくない」と言われた時、親はどのような気持ちになるのでしょうか。子どもが学校でいじめられているのではないか、勉強が遅れてしまうのではないか、そして、このまま学校に行けなくなってしまうのではないか・・・。子どものことが心配で、子どもの将来が不安で、つい「学校に行きなさい」と登校を強くすすめてしまうこともあるのではないでしょうか。
子どもの不登校に遭遇した親は、①戸惑いを感じ、②なぜ学校に行かないのかと叱咤(しっせき)し、③登校を無理強いする、というパターンに陥ってしまうことがあります。
しかし、親から「どうして学校に行かないのか?」と聞かれたとき、その理由を明確に答えられない子どもも多く、答えられないことでますます親に話せなくなってしまう場合も少なくありません。
 
さらに言えば、「学校に行きたくない」とはっきり言ってくれる子どもの方が、まだ親にとっては分かりやすいかもしれません。昨日の夜は元気だったのに、翌朝になると「お腹が痛い」「頭が痛い」といった症状を訴え、学校を休む場合もあります。
身体症状や倦怠感は、上手く言葉にできない心の状態を言葉の代わりに表現するものであったり、当人にも意識されていない心の状態からつくられるものであったりします。
心のつらさを言語化するよりも先に、身体の反応を敏感に認識することがあるのだと知っておくだけで、子どもの心に少し向き合いやすくなるかもしれませんね。
 
子どもが「学校に行きたくない」と思う時、そこには様々な理由が“こんがらがって”存在しています。そういった複雑さを言葉で上手く説明するのは、とても難しいことです。親に聞かれても答えられないし、自分でもよく分かっていないかもしれません。
子ども自身が自分の心の中にある気持ちを言葉にできるようになるまで、じっくり待ってあげることが大切ではないでしょうか。
 
ちなみに、幼い私が「学校に行きたくないなあ」と思っていた理由は・・・やっぱり、いろいろあったようです。大人になった今でも、理由の全てを理解できているわけではありませんから、当時の私はもっと“こんがらがって”いたことでしょう。
ちなみにちなみに、私の親もやはり、①戸惑いを感じ、②なぜ学校に行かないのかと叱咤(しっせき)し、③登校を無理強いする、というパターンでした。今となっては懐かしい思い出ですが、当時の親にとっては一大事だったようです。
大人になった私は「あれは子どものことを真剣に思うからこそ、だったのだな」と、親の行動を理解していますし、感謝もしていますが・・・子どもの頃の私はどう思っていたでしょうか。当時の自分の気持ちを覚えていないのが残念です。
 
参考文献:
柴祐子,宮良淳子(2016).登校していた時期から不登校となり,不登校を続けていく当事者の思いのプロセス.日本看護研究学会雑誌,40(1),25-34.
川島一夫,征矢野達彦,小松茂美(2017).不登校児は、なぜ学校に行かれないのか Ⅲ ― 発達心理学の諸理論からの不登校についての考察 ―.教育総合研究,1(139-155)
 
2023年09月09日 10:35

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