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「ひきこもり」考

手のひらのひよこ
「子どもが家にずっといて、学校に行こうとしない。どう対応したらいいか分からない」
「家族が長年ひきこもっている。このままの状態が続くのだろうか。将来が不安だ」
カウンセリングの中で、このようなご相談を受けることが多くあります。
日本にどのくらいひきこもっている人がいるのか、その正確な数は分かりませんが、疫学調査では≪低めに見積もっても約23万2千世帯に、ひきこもり状態にある人がいる≫と報告されています。
また、ひきこもり状態の人がいるのは日本だけではないようで、アジア圏やヨーロッパの国々にもひきこもり状態にある人が存在することが指摘されています。
 
「ひきこもり」について厚生労働省は『様々な要因の結果として社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6か月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)』と定義しています。
また、ひきこもり状態になることの背景として疾患や障害の存在・影響も指摘されており、サポートの際には医療や福祉との連携が必要となる場合も少なくありません。
だからこそ家族だけで抱え込むのではなく、医療や福祉をはじめとする様々な相談機関に助けを求めていただくことが重要となります。
 
ひきこもり状態にある人やその家族は、それぞれ異なる経緯や事情を抱えています。そしてひきこもり状態の人やその家族に対する世間のまなざしも様々です。穏やかに見守る人もいれば、興味すら持たない人もいます。
中には「そもそも甘えているだけではないのか」「皆つらくても頑張って社会の中で生きているのに、つらいことから逃げて楽をしているだけだろう」といった厳しい見方をする人もいます。確かに、そういった考え方になるのも、理解できなくはありません。
ですが、ひきこもり状態にある人自身が自分のことを責め続けていたり、自分自身を傷つけたり(または家族を傷つけたり)、といったことを日常的に行っている場合があります。本人も家族も、周囲に上手く甘えられない。嫌なことや、つらいことから上手に逃げられない。それは「楽をする」とは真逆の状態ではないでしょうか。
また、“社会”から手厳しく批判されることによって、さらに自分自身を責め、“社会”からの孤立感を深めてしまう場合もあります。そうなるとより一層、自ら周囲に助けを求めることが困難になってしまいます。
 
“誰にとっても安心して生きていける場所”は、今この世界のどこに存在しているのでしょう。
そんな場所はない、自分には決して見つけられないし、つくることもできない、と絶望とともに痛感したとき、誰だって恐怖で身動きがとれなくなってしまうのではないでしょうか。
そしてその恐怖は、明日私の中に湧き上がるかもしれない、と切実に思うのです。
 
現在ひきこもり状態にある人、そしてそんな人や家族をそばで見守りながら心を揺らしている人。
今感じているつらさや歯痒(はがゆ)さ、不安、そして怒りなどを、少しずつでも言葉にしてみませんか。
もしよろしければ、あなたの言葉を聴かせてください。

参考文献:厚生労働省「ひきこもり支援施策について」
          「ひきこもり支援に携わる方のためのヒント集」 他
2023年09月02日 17:44

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