子どものかんしゃくにどう対処する?
特に、子どもが落ち着きなく動き回り、多動気味のタイプであれば、親も非常に体力を消耗するし、子どもを危険から守るために頭の方もフル回転させていなくてはなりません。児童精神科で働いていた時、多動タイプのお子さんを連れてこられる親御さんたちが一様に疲れていた様子が思い出されます。
うちの子どもも幼少期は多動タイプで、食事中もテーブルの周りをくるくる歩き回り、しゃべりながらごはんを食べていたものでした。特に困ったのはかんしゃくで、かっとなると足をバタバタさせて泣きわめいたり、手近にあるものをつかんで投げつけたり。
そんなとき、役に立ったのは、「ADHDのペアレントトレーニング むずかしい子にやさしい子育て」(シンシア・ウィッタム著 明石書店)という本です。日本語タイトルにはADHDとありますが、原書はすべての子どもたちに向けて書かれたものだそうです。
子どもがかんしゃくを起こして手に負えないときの対処法がとても具体的に書かれています。ただ、エッセンスをまとめると、「子どもがいいふるまいをしたらほめる(肯定的な注目を与える)」「子どもがかんしゃくなどしてほしくない行動をしたら無視をする(注目を取り除く)」ということです。そして、「かんしゃくなどしてほしくない行動が収まったら、子どもに注意を向ける」ことです。
たとえば、学校の宿題で、算数のプリントに取り組んでいるとき、かんしゃくを起こして、プリントをぐしゃぐしゃに丸めて放り投げた場面。親はなんの反応もしないようにします。もちろん、叱らない。怖い顔もしないし、ため息もつかない。そうして、かなりの時間がたって、もし放り投げたプリントを自分から拾いに行って、もう一度取り組み始めたら、ここぞとばかりにほめる。
お菓子がほしいのにお母さんがくれないからと足を踏み鳴らして大声で泣きわめくとき。やめるように叱ったりせず、放っておきます。ましてや、お菓子を与えることは決してしません(お菓子をあげると、よけいに足の踏み鳴らしと泣きわめき回数を増やしてしまいます)。長い時間が過ぎ、ようやく自分で怒りを鎮めることができたら、すぐに子どもに注意を向け、落ち着けたことをほめてあげます。
この方法を使うようになって、親子間での険悪な雰囲気がなくなり、親としての心身の消耗度合いも減って、ずいぶん楽になったのを覚えています。
2023年06月22日 21:53