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だれかに相談するということ ―1―

子猫たち
「相談しても意味がない」?
カウンセリングの中で「自分は誰にも相談しません。今までもずっとそうしてきました」とおっしゃる方にお会いすることがあります。
「どうしてですか?」とおたずねすると「どうせ相談しても解決できるような問題じゃないので。相談しても意味がないからです」と話してくださる方が多いです。
では何故、その方は「カウンセリングに行こう」と思われたのでしょう?
 
「親子関係の問題」や「嫁姑の問題」、そして「職場の人間関係の問題」などは、カウンセリングで“すっきり解決”できる問題ではないかもしれません。
人間関係の問題を根本から解決しようとするのなら、相手と物理的な距離を取る、つまり家族や会社から離れなければならないかもしれません。もしくは、恐れている相手と対峙・対決しなければならないこともあるでしょう。
そしてそのことは、問題の中心で悩んだり困ったり苦しんだりしている本人が一番良く分かっているのではないでしょうか。
しかし、根本解決の方法が分かっていても、それを実行するのは容易ではありません。リスクを背負ったり、痛みを感じたりすることに耐えられない場合もあるでしょう。
そして、根本的な解決方法が分かっていてもどうしようもない、と思うことで、さらに苦しみが増すのではないでしょうか。
また、人間関係で生じる悩みや不安は、たとえ家族と絶縁しても、職場を退職しても、繰り返し起こる可能性があります。「新たな場所、新たな人間関係に身を置けば、もう問題は生じない」という保証はどこにもないからです。
 
カウンセリング効果のひとつに「ものごとの受け取り方や感じ方のバリエーションを増やす」というものがあります。
カウンセリングで「悩み」や「不安」の原因が完全に取り除かれることはないとしても、「悩み」や「不安」に対する受け取り方や感じ方を変化させる(増やす)ことはできるのです。これは「性格を変える」という意味ではありません。あくまでも「ものごとの受け取り方や感じ方のバリエーションを増やす」だけです。
 
暗く、困り果てた顔でカウンセリングに訪れた方が、カウンセリング終了時には「話して良かった」「気持ちが落ち着いた」と笑顔を浮かべられることが多いのは、カウンセリングが「不安」や「苦しさ」や「つらさ」といった相談者自身の感情や受け取り方を否定せず、ただただ聴くことを大切にしているからだと思います。そしてカウンセリングを通じて、相談者自身がものごとの受け取り方や感じ方のバリエーションを増やしていくのが、カウンセリングの基本であり理想でもあるのです。
 
これからも、カウンセリングという場を上手に、安心してご利用いただければ幸いです。
2023年05月10日 14:55

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